新人歯科医師研修について
こんにちは。総院長の東海林です。
春から当院にはまた新たに新人歯科医師がやってまいります。
当院では一貫して患者様にクオリティの高い治療を行えるように、入社した歯科医師への研修にも力を入れております。
当院の理念と新人研修への思い
渋谷矯正歯科グループは、美しい笑顔を創造し「日本の歯並びをきれいに」という企業理念のもと、全国に11院を展開し、多くの患者様の健康と幸福に貢献しています。
歯と歯並びは、私たちの全体的な健康を支える基盤であり、生涯を通じてその健康を維持するためには、適切な歯列と咬合が不可欠です。
しかしながら、日本における矯正治療の普及率は約10%と、矯正治療が広く浸透しているアメリカの50%と比較して大きく劣っています。
この背景には、矯正医の不足と矯正医育成体系の問題が深く関わっています。
現在の教育体系では、矯正医としての道は大学卒業後に医局に残ることが唯一の選択肢とされていますが、臨床経験が十分に積めないことが問題となっています。
渋谷矯正歯科グループでは、この問題に対して積極的に取り組み、大学の医局に依存せずとも一人前の矯正医を育成する体制を整えることを使命としています。
我々は、矯正医の育成を通じて、日本における矯正治療の質と量を向上させ、国民の歯並びに対する意識改革に貢献していきます。
当院の入社前研修について
当院では、新たに仲間となる歯科医師の方々に向けて、入社前研修を実施しています。
この研修の目的は、入社前に「当法人がどのようなことを行っているか」を理解し、当院のビジョンや想いを深めていただくことです。
入社前研修と入社後研修の違い
■入社前研修
患者さんが初診で来院されてから契約に至る流れの中で、技工に関わる最初の部分を知っていただきます。
入社前研修の内容
患者さんの流れとして、まずは以下のステップがあります。
- カウンセリング:患者さんが来院し、初めてのカウンセリングを受けます。
- 検査:歯列矯正のための検査を行います。
- 診断:検査結果をもとに診断を行います。
- 契約:患者さんとの契約を結びます。
特に重点的に検査と診断のプロセスを学び、ワイヤー曲げ(ラウンドワイヤーと角のワイヤー)も実践的に行います。
■入社後研修
最初は分析を中心とした内容から始め、手技など実践に必要なスキルをさらに深めて学びます。
研修のスケジュール
- 日程:3日間(連続ではなく月1回の頻度で開催)
- 所要時間:1回あたり4〜6時間
1日目
ソフトウェア(MotionView Ortho Insight 3D)の使い方を教えます。
2日目
初日の復習を行い、実践的な活用を促します。
理解度に応じて、ワイヤー曲げに移行するか、モーションビューの振り返りを行います。
3日目
様々な種類のワイヤーで曲げる練習を行います。
歯列矯正の「排列」とは?
排列は歯列矯正治療において重要な初期段階の一つです。
このプロセスでは患者様の歯を理想的な位置に配置するために、一つ一つの歯を正確に並べます。
排列の目的は、歯並びの美しさだけでなく、機能的な改善も図ることです。
歯が正しい位置にあると、咬合力、噛み合わせの問題を解決し、将来的な歯の健康を守ることができます。
当院では、先進的なテクノロジーであるiTeroスキャナーを使用して、患者様の口腔内を高精度にスキャンし、そのデータを基に個々の歯の状態を詳細に分析します。
スキャンしたデータは、専門ソフトウェアであるOrtho Insight 3Dに取り込まれ、一本一本の歯をデジタル上で正確に配列するための基盤を作ります。
このプロセスにより、治療計画を立案し、患者様に最適な治療結果を提供することが可能になります。
排列の過程では、歯科医師の熟練した技術と審美眼が求められます。
アーチの形状、バイトの深さ、咬合位置など、患者様の口腔内環境に合わせた細かい調整が必要です。
この繊細な作業を通じて、患者様一人ひとりの理想的な歯並びと機能的な咬み合わせを実現することが、我々の使命です。
排列は、美しい笑顔と健康な口腔機能への第一歩であり、その重要性は計り知れません。
■排列のポイント・注意点
排列作業におけるポイントと注意点は、正確な診断と計画に基づいた慎重な作業実行にあります。
特に抜歯が必要なケースでは、抜歯後のスペースをどのように利用するかが重要になります。
例えば、大臼歯を遠心に移動させる場合、近心移動量と臼歯のアングルに細心の注意を払う必要があります。
また、前歯の歯槽骨の状態を評価し、移動量を適切に決定することも重要です。
さらに、スペースを適切に管理し、叢生を解消することが目標です。
治療計画に基づいて、患者様一人ひとりに合わせた排列を行うことで、最終的な治療結果の質を高めることができます。
したがって、精密な計測と患者様の個別の条件を考慮した個別化された治療計画の作成が、排列作業における最も重要なポイントとなります。
■排列研修の合格基準
最初から最後まで教えた内容が一人でできるようになったら合格となります。
しかしここでは実際のシステムに触れてみてシステムの大まかな流れを覚えること、実際にワイヤーを曲げて感覚を掴むことを重視しております。
歯列矯正の「ワイヤー曲げ」とは?
ワイヤー曲げは、歯科矯正において、歯を正しい位置に整えるためにワイヤーを曲げる作業です。
歯列矯正治療における中核技術の一つで、患者様の歯並びや咬み合わせの状態に応じて、ワイヤーを精密に曲げます。
このプロセスは、特に治療の初期段階で叢生を有する患者様に対して行われることが多く、治療計画に基づいた適切な力を歯に加えることで、歯を理想的な位置へと導きます。
歯に一つずつ「ブラケット」と呼ばれる小さな装置を歯の表面に接着し、そのブラケットに形状を変形させてもすぐに元に戻る形状記憶のワイヤーを通します。
このワイヤーに力を加えていくことで歯並びを整えていきます。
個々の歯並びに合わせてワイヤーを曲げることによって、その人に合った確実な矯正治療が可能になります。
■ワイヤー曲げの段取りと研修方法
当院の研修プログラムでは、0.12Ni-Ti,0.14Ni-Tiラウンドワイヤーを曲げることからスタートします。
これは、治療初期に多用されるワイヤーであり、特に叢生が見られる患者様に適用されます。
研修では、このワイヤーを使用して、様々な種類のワイヤー曲げ技術を実践してもらいます。
プライヤーを用いて、最初は基本的な曲げ方から教え、徐々に複雑な曲げ技術へと進んでいきます。
練習はチャートに沿って行われ、実際の治療に即した形での曲げ技術が身につくよう設計されています。
■ワイヤー曲げ研修の終了基準
研修では、トルクや高さの修正など、細かい部分の調整方法も教えますが、最も重要視しているのは、実際にワイヤーを曲げる感覚を身につけることです。
入社後研修ではより深めた内容を学んでいきます。
■作業のポイントと注意点
ワイヤー曲げの際には、トルクや高さの正確な調整が求められます。
これには、プライヤーの正しい持ち方や使用方法が非常に重要となります。
プライヤーを安定して扱うことで、より精密な曲げが可能になり、患者様に良い治療を提供できます。
また、ワイヤー曲げは繊細な作業であり、初めて行う際には難しく感じることが多いです。
しかし、繰り返しの練習を通じて技術を習得し、治療に活かすことが可能です。
研修中の歯科医師の反応
実際に研修に参加した歯科医師からは、「0.9mm線のワイヤーは大学で曲げた経験があるが、ラウンドワイヤーや角のワイヤーを曲げるのは初めてで難しい」という声が聞かれます。
このような反応は、ワイヤー曲げの技術が、簡単に習得できるものではないことを物語っています。
しかし、当院では患者様により良い治療を提供するため、この重要な技術を習得することに力を入れており、研修を通じて徐々に技術を身につけてもらえるようサポートしています 。
入社前研修ではもちろんすべてのことを学ぶことはできませんので、導入として慣れていただくことを目的としており、もっと深めた内容は入社後研修で行います。
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