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「歯科矯正治療と気道」について。

歯の模型

「歯科矯正治療と気道」について。

2023/09/07

歯の模型

こんにちは。総院長の東海林です。
今回は、歯科矯正診断において、呼吸するときに空気が通る道「気道」の大きさや形がどう重要なのかについてお話ししたいと思います。
この2つは一見関係ないように見えるかもしれません。しかし矯正治療では、呼吸と関係がある気道について考慮することが重要な症例も数多くあります。
当院では歯並びだけではなく顎顔面全体を考慮して治療計画を立てることを重要としております。そのための機能が充実したCTも導入しておりますので最後にご紹介します。

■歯科矯正治療と気道

歯科矯正治療とは、不正咬合や歯並びの問題を解決するために、歯や顎の位置を調整する治療です。歯科矯正治療には、見た目や咬み合わせの改善だけでなく、さまざまな健康効果が期待できます。その一つが、気道容積の増加です。
まず、気道の大きさは、歯や顔の大きさと関係があることがわかっています。顎が前に出ている人(Class Ⅲ)は、顎が後ろに下がっている人(Class Ⅱ)や普通の人(Class I)よりも、気道の大きさが大きいことが多いです。また、顎が上に向かって成長する人は、顎が下に向かって成長する人よりも、気道が広くなりやすいです。
しかし、気道の大きさだけではなく、呼吸の仕方も重要です。鼻から息をする人は、口から息をする人よりも、顎や歯の成長に良い影響を与えます。口から息をする人は、鼻から息をする人よりも、顎が下に下がってしまったり、上あごが細くなったり、歯並びが悪くなったりする可能性があります。

■気道容積とは

鼻から肺までの空気の通り道である気道の容量のことです。気道容積が小さいと、呼吸がしにくくなったり、睡眠時無呼吸症候群などの呼吸障害を引き起こしたりする可能性があります。逆に、気道容積が大きいと、呼吸がスムーズになり、酸素の供給が良くなります。

気道の大きさは、年齢とともに変化します。特に男性は女性よりも気道が大きくなる傾向があります。しかし、気道の大きさを小さくしてしまうような病気や障害もあります。例えば、アデノイドや扁桃腺が腫れたり、アレルギーで鼻づまりになったり、鼻の形が変わったりすると、気道が狭くなってしまいます。これらの問題は、口から息をする癖を作ったり、顔や歯の成長に悪影響を与えたりします 。

また、気道の大きさや形は、睡眠時に呼吸が止まってしまう病気「睡眠時無呼吸症候群」のリスクとも関係しています。この病気は、睡眠中に呼吸が何度も止まってしまうことで、体や心に様々な問題を引き起こします。睡眠時無呼吸症候群は、専門的な検査「睡眠ポリグラフ」で診断されますが、歯科矯正医は、コンピューターで撮った三次元画像(CBCT)からも気道の状態を見ることができます。この画像からは、気道の断面積や半径などを測定することができます。これらの数値は、睡眠時無呼吸症候群のリスクを判断するための参考になります。

しかし、CBCT画像からの気道の数値だけでは、睡眠時無呼吸症候群の診断はできません。なぜなら、気道の大きさや形は、呼吸するときに変化するからです。呼吸するときに気道が広がったり狭まったりすることで、睡眠時無呼吸症候群のリスクは変わります。そのため、歯科矯正医は、CBCT画像だけでなく、睡眠ポリグラフや睡眠質問票などの他の検査も併用する必要があります。

■気道容積を増やす方法

では、歯科矯正治療はどのようにして気道容積を増やすのでしょうか?
そのメカニズムを理解するためには、歯や顎だけでなく、周囲の筋肉や骨格にも注目する必要があります。
特に重要なのが、舌骨という骨です。
人体の口周辺の構造の図解イラスト
舌骨とは、舌や喉頭を支えるU字型の骨で、首の前面にあります。舌骨は他の骨と関節でつながっていないため、自由に動かすことができます。舌骨は咽頭部気道(喉から声帯までの部分)の形成に大きく関与しており、舌骨の位置や動きが気道容積に影響を与えます。
歯科矯正治療では、主に以下の二つの方法で舌骨の位置を変化させて、気道容積を増やすことができます。

  • 上顎前突症(上顎が下顎よりも前方に突出している状態)や下顎後退型(下顎が上顎よりも後方に引っ込んでいる状態)などの不正咬合を改善することで、下顎を前方に移動させる。これにより、舌骨も前方に移動し、咽頭部気道が広がる。
  • 開咬(上下の前歯が噛み合わない状態)や深すぎる被蓋(上下の前歯が重なりすぎている状態)などの不正咬合を改善することで、上下顎間隔を適切にする。これにより、舌骨も上方に移動し、咽頭部気道が広がる。

これらの方法は、歯科矯正治療だけでなく、顎矯正手術(不正咬合を改善するために顎骨を切って移動させる手術)やオトガイ形成術(下顎先端部分を切って前方に移動させる手術)などの外科的手段でも適用できます。ただし、これらの手術はリスクやコストも高いので、必要に応じて慎重に選択する必要があります。

■気道容積に関連する研究とガイドライン

歯科矯正治療における気道容積の位置づけについて、いくつかの研究が行われています。以下の2つの研究を紹介します。

  • 文野らは、上顎前突症例の矯正治療後にオトガイ形成術を行った患者15名を対象に、オトガイ部の移動量や咽頭部の前後径、舌骨の移動量を測定した。その結果、オトガイ形成術によりオトガイ部が前方に移動したことで、舌骨も前方に移動し、咽頭部での気道の明確な変化は認めなかったが、舌骨の位置に影響を与えることが示された。
  • 渡邉らは、骨格性開咬患者に対する顎矯正手術前後の舌骨位置と気道形態の変化を調べた。その結果、顎矯正手術により下顎が上方に移動したことで、舌骨も時計回りに回転し、後方下方に移動した。また、咽頭部気道は上部と下部では変化がなかったが、中部では狭窄した。

また、日本矯正歯科学会は、歯科矯正治療とそれを提供する矯正歯科医師に関するガイドラインを作成しています。その中で、歯科矯正治療は気道容積や呼吸機能に影響を与える可能性があることを指摘し、治療計画や評価方法などについて具体的な指針を示しています。
上記からも歯科矯正治療は気道容積に関係する重要な治療法であることがわかります。
矯正治療を受ける際は、歯並びや顎顔面形態だけでなく、気道容積や呼吸についても考慮する必要がある場合があります。また、歯科矯正治療を行う歯科医師も、気道容積や呼吸機能に関する知識や技術が必要です。
当院では日々研鑽を続ける歯科医師たちが治療を行っております。安心してご相談ください。

■オルソパントモグラフOP 3Dビジョンについて

エンビスタジャパン株式会社の歯科用エックス線CT診断装置

歯科用エックス線CT診断装置
オルソパントモグラフ OP 3D Vision ※1

最後に当院ではこちらのCT診断装置を採用しておりますので簡単のご紹介いたします。
エンビスタジャパン株式会社が販売する歯科用のエックス線CT診断装置です。
この装置は、パノラマ撮影、セファロ撮影、3D撮影の機能を備えており、さまざまな症例に対応できます。また、低被ばく線量で患者さんに優しく、気道分析や顔写真マッピングなどの高度な機能も搭載しています。歯の一部分だけではなく全体を撮影できるという点が素晴らしい機器です。

  • 顎顔面領域・矯正領域をカバーする撮影範囲を誇ります。臨床ニーズに合わせて3D撮影領域を選択でき、いつでもアップグレードが可能。
  • パルス照射という技術により、エックス線の照射時間を劇的に短くし、被ばく線量を大きく抑えます。新しい撮影モード「Quick Scan+」では更なる線量の低減に成功しました。
  • 画像がブレない「座位」による患者様の固定と、全周囲からの情報を得られる360°スキャニングにより、高い精度と安全性を兼ね備えた画像を生成。
  • 金属による虚像の発生を最小限に。
  • 簡単な患者ポジショニングや撮影条件の設定など、撮影に関わるワークフローを最適化し、
    術者のストレスを最小限。
  • 実撮影したパノラマおよび3D画像を迅速にレビューでき、タイムリーな評価が可能。

上記のような豊富な機能を使用して治療計画の立案や経過観察のために撮影を行います。
ご不安なことがある場合もお気軽にお問い合わせください。

被曝線最比較資料の表

被曝線最比較資料の表 ※2

 

エックス線の被曝線量の図

「Quick Scan+」モードでの被曝線量 ※1

CT撮影のポジショニング時の図

ポジショニング時の固定の図 ※1

引用元・参考元

※1 画像引用:エンビスタジャパン株式会社「オルソパントモグラフ OP 3D Vision」
(最終閲覧日:2023年9月7日)
https://www.envistaco.jp/product/dexisproduct/x-ray/ct/dexis-op-3d-vision

※2 出典:Bornstein,M.M.,Scarfe,W.C.,Vaughn,V.M.,& Jacobs,R.(2014). Cone beam computed tomography in implant dentistry: a systematic review focusing on guidelines,indications,and radiation dose risks. International journal of oral & maxillofacial implants,29.
画像引用:エンビスタジャパン株式会社「オルソパントモグラフ OP 3D Vision」
(最終閲覧日:2023年9月7日)
https://www.envistaco.jp/product/dexisproduct/x-ray/ct/dexis-op-3d-vision

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