韓国の学術大会に参加してきました〈後編〉
-E−WIREと韓国の矯正事情について-
こんにちは、総院長の東海林です。
今回は先日参加してきたThe 56th Annual Scientific Congress of the Korean Association of Orthodontistsの内容から、
E-WIRE、矯正の後戻り、韓国の歯科矯正事情についてお話しします。
>>前回「韓国の学術大会に参加してきました〈前編〉-非抜歯矯正・MCPAについて-」
E-WIREとは
今回の学会で興味を持ったものの一つにこのE-WIREがあります。
これは矯正のブラケットが必要ない矯正装置です。
ワイヤーを直接歯にレジンで固定してしまうのです。
そんなことをしてしまったら固定されて動かないのでは?と思われるかとおもいます。
しかしE-WIREはワイヤーに水溶性のコーティングが施されており、水でそのコーティングがとけると動くようになるのです。
装着が簡単ですが、動きが限定的にはなるので歯の後戻りや部分矯正に適している装置です。
しかし装着が簡単、ブラケットいらずという点をみても患者様への負担が軽くなるので今後当院でも導入していきたいと思っております。お楽しみに。
矯正の後戻りについて
歯列矯正には、ブラケット矯正やマウスピース矯正など、さまざまな方法がありますが、どの方法でも、矯正装置を外した後は、必ず保定期間が必要になります。
保定期間とは、矯正装置を外した後に、歯が元の位置に戻らないように固定する期間のことです。
保定期間には、保定装置(リテーナー)と呼ばれる、歯にフィットするプレートやワイヤーを装着します。
保定装置は、自分で取り外しができるものや、歯に接着するものがあります。
保定装置をきちんと装着しないと、歯は元の位置に戻ろうとする力に抗えず、矯正前の歯列に戻ってしまう現象が起こります。
これを「後戻り」といいます。
後戻りは、矯正治療の効果を失わせるだけでなく、歯や歯周組織にも悪影響を及ぼす可能性があります。
◎後戻りの原因
- リテーナーを装着しない、または装着時間が不十分な場合
- 歯ぎしりや食いしばりなどの癖がある場合
- 舌や唇の使い方が歯並びに影響する場合
- 歯周病が進行していたり、加齢により歯槽骨が減少していたりする場合
◎後戻りを防ぐためには
- 矯正歯科医の指示に従って、リテーナーを装着する
- 歯ぎしりや食いしばりなどの癖を改善する
- 舌や唇の使い方を正す
- 歯周病の予防や治療を行う
- 定期的に矯正歯科医に検診を受ける
もし、後戻りが起こってしまった場合は早めに矯正歯科医に相談することが大切です。
後戻りの程度によっては、リテーナーの調整や部分矯正などで対応できる場合もあります。
しかし、歯が大きく動いてしまっている場合は、全体的な再矯正が必要になる場合もあります。
歯列矯正は、費用や期間、痛みなどを我慢して行う治療です。
せっかく矯正した歯並びを、後戻りで台無しにしないためには、矯正装置を外した後も、リテーナーの装着やメインテナンスに気を付けることが必要です。
歯列矯正後の歯並びは、自分で守るものだということを忘れないでください。
韓国の歯科矯正事情
韓国は美容大国として有名ですが、歯科医療も高いレベルにあります。
特に歯列矯正は日本と比べて費用が安く、技術が進んでいると言われています。
では、具体的にどのような歯列矯正が行われているのでしょうか?
1.韓国の歯科矯正の費用
まず気になるのは費用の問題です。
韓国の歯列矯正は日本と比べてどのくらい安いのでしょうか?
一般的には、韓国の歯列矯正は日本の半額以下でできると言われています。
例えば、日本で30万円〜50万円程度かかるセラミック矯正やクリッピーシー矯正は、韓国では10万円〜20万円程度でできるということです。
また、日本で100万円以上かかるマウスピース矯正(インビザライン)も、韓国では30万円〜50万円程度でできるということです。
では、なぜ韓国の歯列矯正は日本よりも安いのでしょうか?
その理由はいくつかありますが、主なものは以下の通りです。
・日本の歯科矯正費用は世界的に見て高額である
物価の高いアメリカでも、歯列矯正は50万円程度でできるということです。
韓国の歯列矯正費用は世界的には平均的であり、日本の歯列矯正費用は世界的に見て異常に高額だと言えます。
・韓国では歯列矯正を受ける人口が多く、競争が激しいこと
韓国では歯列矯正は美容の一環として広く受け入れられており、歯列矯正を行う歯科医院も多数あります。
そのため、歯科医院は価格競争やサービス競争を行い、費用を抑える傾向があります。
・韓国では歯科矯正に関するイベント価格やセールが頻繁に行われる
韓国では歯科矯正も美容整形と同様に、イベント価格やセールを行うことが多くあります。
そのため、タイミングによってはさらに安く歯列矯正を受けることができます。
2.韓国の歯科矯正の技術は日本よりも進んでいる?
次に気になるのは技術の問題です。
韓国の歯列矯正は日本と比べてどのくらい技術が進んでいるのでしょうか?
一般的には、韓国の歯列矯正は日本と同等か、むしろ高いレベルにあると言われています。
・韓国では歯列矯正の種類が豊富であること。
韓国では日本と同様に、表側矯正や裏側矯正、マウスピース矯正などの歯列矯正が行われていますが、顔貌矯正などの歯列矯正も行われています。
顔貌矯正は、歯列矯正だけでなく、顔の形やバランスを整える方法で、美容整形との併用も可能です。
・韓国では歯列矯正の期間が短い
韓国では歯列矯正の期間は、日本と比べて半分程度で済むと言われています。
例えば、日本で2年〜3年かかる歯列矯正は、韓国では1年〜1年半で終わるということです。
その理由は、韓国では歯列矯正の装置が日本よりも小さく、力が強いものが多く使われていることや、韓国では歯列矯正の治療計画が日本よりも積極的で効率的なものが多いことなどが挙げられます。
3.韓国の歯科矯正にはどのような注意点
最後に気になるのは注意点の問題です。
韓国の歯列矯正には日本と比べてどのような注意点があるのでしょうか?
・韓国の歯科矯正には健康保険が適用されない
日本でも基本的に矯正は自費治療となりますが、韓国ではもちろん健康保険が適用されません。
そのため、歯列矯正にかかる費用は全額自己負担となります。
そのため、歯列矯正を受ける前に必要な費用や治療内容をしっかりと確認することが重要です。
・韓国の歯科矯正には言葉の壁がある
韓国では歯列矯正は基本韓国語で行われます。
そのため、歯列矯正の説明や指示、アフターケアなどについて、日本語でコミュニケーションができるかどうかを確認することが重要です。
日本語が話せる歯科医師やスタッフがいる歯科医院もありますが、必ずしもそうとは限りません。
また、日本語が話せるとしても、専門用語や細かいニュアンスが伝わらない場合もあります。
そのため、歯列矯正を受ける前に、言葉の壁によるトラブルや不安を避けるために、通訳サービスや日本語対応のコンサルタントなどを利用することをおすすめします。
・韓国の歯科矯正には日本との往復が必要
韓国の歯列矯正は日本よりも期間が短いと言われていますが、それでも何度も通院する必要があります。
一般的には、歯列矯正を始める前、カウンセリングや検査を受けるために1回、歯列矯正を装着するために1回、定期的に調整するために数回、歯列矯正を外すために1回、アフターケアを受けるために1回、合計で5回〜10回程度の往復が必要になります。
そのため、韓国の歯列矯正には、日本との交通費や宿泊費、時間や手間などを考慮する必要があります。
また、歯列矯正中に何らかのトラブルや痛みが発生した場合に、すぐに韓国に行けるかどうかも確認することが重要です。
韓国の歯科矯正は日本と比べて費用が安く、技術が進んでいるという魅力がありますが、それと同時に注意点も多くあります。
歯列矯正は自分の歯や顔に大きな影響を与えるものです。
韓国の歯科矯正を受ける場合には十分な情報収集や比較検討、信頼できる歯科医院やコンサルタントの選択などを行うことが必要です。
そのため、安心して矯正治療を受けるなら日本で信頼できる歯科医院で行うことをおすすめします。
最後に、韓国で撮影した写真をご紹介して終わります。
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